うなぎのことを考える・・・

今さら特に珍しくもないし、意外性も感じられないニュースですが・・・
http://www.asahi.com/articles/TKY201310210359.html

動画もあります

ウナギ9トン産地偽装、中国産などを「静岡産」

今年の2月に環境省ニホンウナギを「絶滅危惧種」に指定しました。
これは近年の養殖用のシラスウナギ(天然鰻の稚魚)の漁獲高減少が大きな要因なのですが、それ以外にも天然鰻の漁獲高の減少もあります。
シラスウナギ・天然鰻ともに、漁協でカウントした数字ですので、実態はこの限りではないかもしれせん。
シラスウナギは密漁が後を絶たず、密漁者やブローカーが暗躍しているとの報道もありました。
天然鰻も、それを捕る川漁師の高齢化による減少や、宅急便の発達によって、漁協を通さずに契約している鰻屋さんに直接送ったりしているため、(これは合法)実数はつかめません。


絶滅危惧種」に指定されたとはいえ、法的拘束力は無く、自治体や漁協レベルで資源保護の掛け声の下、効き目があるのかどうか疑わしいような規制や条例があるのみです。

ニホンウナギは何故減ったのか?
これには諸説ありまして・・・
①養殖に使うための鰻の稚魚、シラスウナギの乱獲。
②河川環境や水質など、生息環境の悪化。
③海流の変化によってシラスウナギが日本に接岸できない。
④うな研メンバーが釣り過ぎた?ヽ(^o^)丿

ま、④はほとんど冗談としても、全く無関係ではないでしょうね・・・^_^;
では、どれぐらいの関係があるかと言うと、街の鰻屋さんの常連客以下かもしれません。
実際、私が今シーズンに食べた鰻は、全部で5匹。
平均サイズは74センチぐらい。
これを延べ8人で食べたので、鰻屋さんの特上うな重1人前相当ぐらいですかね。
イメージ 1
ぱらまた特製の「瀬戸内・日本海相乗りうな重

話が横道にそれました。
養殖に使うシラスウナギの減少によって、シラスウナギ一匹当たりの単価は500円にもなります。
これを養殖池に入れて、餌を与え、温度管理やその他色々と手間暇をかけて育て、養殖→問屋→鰻屋or加工業者&小売店など、それに携わる人間の人件費や運送費や加工費経費を加えると、近年のうなぎ価格の高騰は納得がいくもので、業界内では廃業や倒産も多発しているのが現状です。

商社や養鰻業者の中には、ニホンウナギがダメなら外国の別種のウナギを、との考えから、海外に活路を求める動きも活発化しています。
インドネシアアメリカやオーストラリア、遠くはマダガスカルまで、その商魂はたくましいばかりで、それを感動仕立てのドキュメンタリー番組で紹介するテレビ局・・・・
これら海外のウナギは全て彼の地の天然鰻で、その資源量や生態に関して、ニホンウナギ以上に実態が判っおらず、もしかすると数年でそれらのウナギも絶滅危惧種指定の憂き目を見るかもしれません。
これは近いうちに間違いなく外国から「コラ!日本人、お前らはニホンウナギだけでは飽き足らず、世界中のウナギを食い尽くす気か!」とバッシングされるのは明らかです。

ここで少し「ウナギ」について解りやすく書きます。
「ウナギ」は世界に19種がいまして、日本にいるのはニホンウナギ(アンギュラ・ジャポニカ)とオオウナギ(アンギュラ・jマルモラータ)の2種。
普段日本人が食べているのは大半がニホンウナギで、中国や台湾から輸入されているものも現地の養殖池で育ったニホンウナギが大半です。
ただ、中国ではヨーロッパウナギ(アンギュラ・アンギュラ)も含まれているようで、蒲焼きになってしまえば素人にはまず区別はつきません。
そして、養鰻業界や商社が目を付けたのがアメリカウナギ(ロストラータ種) インドネシアウナギ(ビカラー種)
マダガスカルウナギ(モザンビカ種)などの異種ウナギです。

知り合いのキャパ狂いの鰻屋や、某うなぎ卸問屋の試験調理では、やはりニホンウナギとは味も香りも脂の質も違うとのことです。
ま、そりゃそうでしょ、本マグロとキハダマグロ、マイワシとカタクチイワシマコガレイメイタガレイでも味が違うんですから。
いや、ひょっとすると、上記の魚は同じ海域でも捕れるので、生息水域が全く離れた異種ウナギはそれ以上に違ってても不思議ではありませんね。

本題に戻ります。
ニホンウナギはなぜ減ったのか?
主犯格は誰、もしくは原因は何なのか・・・?

シラスウナギの乱獲と言う人もいるし、環境の悪化と言う人もいるし、海流や地球的気候変動が原因と言う人もいるし・・・
言い換えてみれば、それぞれの立場で「そう思いたい」とか「そのせいにしたい」の心理が大きく働いているのかもしれません。
これには大きく利害が関係しており、ウナギの側からすれば「お前らみんな同罪じゃっ!」てことになるのかも・・・
また、ウナギを食べない人からすりゃ、やはり「目くそが鼻くそを笑うみたいなもんです。

ニホンウナギを絶滅の危機から救う最も有効な手段は?
これはアホにでも解ります。
①養殖・天然すべてのニホンウナギの商取引の禁止。
②個人によるウナギの捕獲の禁止。
③いかなる理由においてもウナギを食用とすることを禁止。
④河川環境など、ウナギの生息環境の改善。
※これらに違反した場合は死刑とする^_^;

とまあ、これぐらい極端にやれば、10年後ぐらいには目に見えて効果が出てくるかもしれませんが、主な原因が

海流や地球的気候変動なら人間ごときは手も足も出ません。

ま、ただこんな極端なことをしたら、鰻屋さんや養鰻関係や加工業者が絶滅してしまいます。
業界関係者にも家族があり生活があるわけですから、これは現実的ではありません。

それなら、どこかでバランスをとっていくことができるのか?
例えば・・・ 
シラスウナギの漁期の大幅削減。
②食管法などにより公的に販売価格や流通形態を厳しく管理。
③天然鰻を捕獲する川漁師などへの漁獲制限。
④個人のウナギ捕獲の禁止。

これもかなり問題ありますね・・・
①②③はやはり業界に与える影響が大きすぎるし、また密漁や闇取引が横行するのは火を見るより明らかです。
④は・・・ 「釣りを楽しむ権利」などと声高に叫ぶプロ市民みたいなのが出てきそうやし・・・

う~ん・・・ 守るべきものは何なのか・・・・
ニホンウナギという種なのか・・・
ウナギに携わる業界なのか・・・
日本の食文化なのか・・・

あ・・・・  眠くなってきたので今夜はこれ以上難しいことを考えるのは無理です・・・・
また近いうちに続編を書くかも・・・・