何年も前からゆうとるやろ

産経新聞より転載

長辻象平 ニホンウナギ 蒲焼きの大型化でも資源保護

http://www.sankei.com/images/news/150603/clm1506030010-n1.jpg葛飾北斎の戯画。現代のウナギ事情を予見していたのだろうか
                   
 ニホンウナギの稚魚・シラスウナギを育てる養殖ウナギの世界に変化が起きている。シラスウナギの減少に伴って、ウナギそのものと蒲(かば)焼きの大型化が始まったのだ。
 国際自然保護連合(IUCN)によってニホンウナギは、昨年6月、絶滅危惧種に指定された。来年には商業取引による絶滅を防ぐためのワシントン条約締約国会議が待ち構える。
 輸入にも頼り、捕れる限りのシラスを養殖に投入するこれまでのやり方は、総量の削減開始で通用しなくなってきた。
 蒲焼きのジャンボ化現象も資源保護の流れに沿った対応の一環だ。今月1日からは、ウナギ養殖業が農林水産大臣の許可制になった。札幌では同日からニホンウナギの資源管理のための日本、中国、韓国、台湾による非公式協議が開催中だ。ウナギの世界が動いている。
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 「養殖ウナギのサイズは、5Pとか4Pという呼称で表現されます」
 大森淡水(宮崎市塩路)の担当者が教えてくれた。
 Pはピースの略で、何匹で1キロになる大きさかを意味している。5Pは1匹、200グラムのサイズというわけだ。
「半分に切ると1匹分が鰻重(うなじゅう)の器に収まるので、5Pのウナギが好まれてきました」ということだ。
 3Pのウナギは333グラム。ブリやスズキは成長とともに呼び名が変わる出世魚だが、養殖ニホンウナギの成魚は6P、5P、4P、3Pと数字が小さくなるほど大きくなっていく。
 養殖ウナギのスタート時点での体重は0・2グラムで、爪楊枝(つまようじ)ほどのサイズ。体の色素が乏しく透明なのでシラスと呼ばれる。
 シラスウナギは、毎年11月以降、日本列島の太平洋岸などの河口域に姿を見せる。
 その年の初夏にグアム島西方の海底山脈で生まれた仔魚(しぎょ)(レプトセファルス)が、北赤道海流と黒潮を乗り継いで、3千キロの海路を旅し、たどり着いた河口で、柳の葉に似た姿からミニウナギの姿に変身したのがシラスウナギなのだ。
 採捕業者からシラスウナギを購入した養殖業者は、ハウス式の養殖池で7月の土用の丑の日を目指して急成長させる。わずか半年で食べ頃サイズに育つのだから大変な技術である。
このシラスウナギの国内採捕量が1982(昭和57)年頃から底這(ば)い状態になっている。
 それ以前は、年に200万トン台から約50万トンの間で捕れていたのだが、82年以降は、毎年のように30万トンを下回る。
 とくに2010年からは4年続きの不漁で13年には約5万トンにまで落ち込んだ。14年には約17万トンに持ち直したが、昨年11月からの今漁期は約14万トン(3月末時点)にとどまった。
 黒潮とともに北上するニホンウナギのシラスは、日本以外の東アジア沿岸でも採捕されているため、昨年9月には日中韓台による非公式協議が行われた。各国・地域でのシラスウナギの池入れ量の2割削減などの共同声明を出している。
                   
 養殖ウナギ業界で大型化への流れが見え始めたのは、近年の資源低迷期のことだ。
 大きく育てるにはコストがかかるが、1匹で2人前の蒲焼きが主流になると、シラスウナギの採捕量半減も夢でない。
蒲焼きの出荷量と売り上げを減らすことなく資源保護との両立を目指せる道が見えてきた。
 大森淡水が昨夏、ネット販売した「超特大」蒲焼きは、2Pウナギだった。「身が厚い」「脂が乗っている」と消費者に好評で、用意した1500匹をたちまち完売したという。
 今夏の超特大は、一段と話題になりそうだ。
                   
 ソロモン王の指環(ゆびわ)をはめ、昔話の聞き耳頭巾をかぶると養殖ウナギたちの会話が聞こえてくるようだ。
 「ぼくたち(養殖ウナギは、ほとんどが雄)の資源保護が、いろんな形で始まっているけれど、大きく育てることもそのひとつの方法だったとは、驚きだね」
 食の工夫と並行して、シラスウナギの大量生産技術の研究開発も加速している。
 水産総合研究センター増養殖研究所の南伊豆庁舎(静岡県)では昨年、特殊大型水槽を開発し、好成績を挙げている。
 人工孵化(ふか)させたレプトセファルスをシラスウナギにまで育てる技術は存在しているが、量産と省力化が課題となっていた。
 特許との関係で機密扱いの研究だったが、今月中には全容が公開される見通しだ。

我々うな研が何年も前から提唱しとったことです。
もっとはよせんかい・・・