ウナギにまつわるウソや誤解①

長い間ウナギの話を書いていませんでしたが、今回から数回に分けて、世間でまかり通っているウナギにまつわるウソや誤解や俗説に関して、私見やうな研メンバーの考察を交えて書きます。
第一回目は「老舗の鰻屋の継ぎ足し継ぎ足しのタレは本当か?」についてです。

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よくテレビやグルメ雑誌に登場する老舗の鰻屋さんなどで、継ぎ足し、あるいは追い足しを何十年にもわたって続けているので美味いなどと言われていますが、はたしてそれって本当でしょうか?
私やうな研のメンバーは、もちろんタレは自作するのですが、商売でもないので毎日使うわけでもなく、ましてや何十年も継ぎ足せるものでもありません。
でわ、私たちのタレは不味いのかと言うと、決してそんなことは無く、手前味噌かもしれませんが、プロの鰻屋さんのものと遜色ないと自負しております。
もちろん、最初からそうであったわけではなく、試行錯誤を繰り返し、醤油・酒・味醂・砂糖・等の割合や銘柄、火加減や煮詰める度合いなど、かなり研究しました。
ただ、作り立てのタレは味にカドがあり、以前に使ってペットボトルなどに入れ冷蔵庫で保存しておいたものと混ぜます。
割合はほぼ半々ぐらいですが、場合によっては新タレが7割とかの場合もあります。
元タレと混ぜることによってカドがとれまろやかになります。
この理屈で言えば、何十年にもわたって継ぎ足せばさらに美味しくなりそうなものですが、タレに溶け込んだ鰻の脂は酸化するので、味や香りにはマイナス要素もあるわけです。
だいいち、数学的に考えれば、何十年も前のタレがタレ壺に何パーセントか残ってると思いますか?
例えば、10ℓ入りのタレツボとして、一日で2ℓ使ったとします。
新タレを2ℓ追加すれば、元タレは8ℓです。
つまり80%ですが、これを毎日繰り返せば、6日目には元タレはほぼ0になる計算です。
もちろん混ざっているので0.0何%とかのレベルでは残ってるかもしれませんが、何十年となると・・・
つまり、老舗の鰻屋さんのタレが美味いのは、毎日継ぎ足し、こげた鰻やタレから出るフェノール成分などによって香りが付き、それがコクやまろやかさとして感じられるためで、何十年というのはさほどの意味は無いわけです。
うな研の仲間である老舗の鰻屋の店主も「養殖鰻が主流の現在、養殖鰻特有の匂いもあるため、継ぎ足しにも限界がある」言ってました。

次回は「腹が黄色いのが天然の証し」について書きますね。