小林君の鉄製マフラー② カワサキZ1&ゼファー

以前の記事「小林君の鉄製マフラー」で書いマフラー職人小林君が、例のマフラーを装着したデモ車二台を積んで関西方面に来ました。
朝の9時過ぎに我が家へ到着し、トランポから降ろして試乗を兼ねて明石へ向かいます。
今回はこの二台に加えて、先日既にこのマフラーを装着済みの1台の合計三台のZ系の試乗です。
これまでこのような「旧車」にはあまり興味の無かった私ですが、先に試乗した関東の友人たちのインプレッションを聞いてからは実に興味しんしんでありまして、さらに今回の試乗会にはあの伝説の女性ライダー堀ひろ子さんとペアを組んで耐久レースやサハラ砂漠縦断に挑戦したねこさんhttp://plaza.rakuten.co.jp/motostyle/も緊急参加してくれることになり、それも大きな楽しみのひとつです。 彼女と走るのは実に29年ぶり\(◎o◎)/!

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左から900Z1、ゼファー750、Z1改1015のデモ車三台。

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バイクショップ店長のY君の愛車、10年以上に渡ってこのマシンを煮詰めてきただけあって細部にまでその情熱を感じ取ることが出来ます。
エンジンは年式違いのZ系パーツなどを流用し、実にしっかりとした「組み」で仕上げられており、CRキャブとこのマフラーとの組み合わせによって実に高次元の調律が施され、怒涛のトルクでアクセルだけでウイリー状態にもっていくことも可能です。
クラッチを繋いだ瞬間に「おっ?」と思わせ、開ければどこからでもついてくるエンジン、車体周りも18インチ化に伴いフォークのオフセットやワンオフのスイングアームや強化されたブレーキで固められ、乗り手とコース次第では最新のSSと渡り合えそうです。

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今回K君一押しのゼファー750.
どノーマルなのですが、まるで850ぐらいにボアアップされているかのようなトルクです。
よく言われる「ゼファーのかったるさ」は皆無となり、乗ってて実に楽しいバイクに変身しています。
マフラーからの音も迫力はあるがけっしてうるさくなく、乗り手にも他人にもストレスを与えない音質&音量で、もちろん検査場で測って94ホンです。
70年代の「ヨシムラ手曲げ」の音を覚えておられる方なら間違いなく「あのころ」が蘇ります。

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デモ車2号の900Z1。
年式相応にエンジンはそれなりにヤレているものの、このマフラーが色々な部分を補っているのか、こいつも乗ってて実に楽しい仕上がりになっています。
私自身この年代のバイクに乗るのは30年ぶりぐらいになるのですが、今のバイクには無いアナログの良さを感じながら楽しく走ることができました。

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今回特別参加のT君所有のマッハⅢ、本人曰く「古レストア」で仕上げた一台で、外観はあえてピカピカにせず、時の流れを感じさせる仕上げにしてありますが、機能部分はしっかり整備されており、60年代~70年代初頭のマッハサウンドは健在でした。

イメージ 7Z1のマフラーの集合部分はオイルパンとの間に3cmぐらいの隙間があるものが多いのですが、ドレンボルトの逃げを上手く処理しているため(ノーマルのフィルターカバーでも)実にしっくりと車体にマッチしています。








イメージ 8この手曲げ特有のエキパイのカーブはやはりたまりません。














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今回緊急参加してくれたねこさん。
左上は29年前の鈴鹿ダンロップブリッジ下でのねこさん。
右上は今回の集合場所にねこさんが乗ってきた現在の愛車「KTMのRC8」 Vツインの1190ccのモンスターです。\(◎o◎)/!
久しぶりにねこさんのライディングを見ましたが、やはり実に綺麗なフォームで、女性ライダーにありがちな危なっかしさなど微塵もありません。
やはり基本がしっかりと出来てる人は違うな~ヽ(^o^)丿
余談になりますが、29年前のレース中、鈴鹿の3コーナー立ち上がりでねこさんに追いついた私は、目の前でレーシングシートの上を右に左にと動くセクシーなお尻に見とれてしまい、S字→逆バンク→ダンロップブリッジとテール&ノーズで走り、デグナー手前でようやく我に返ったのでした・・・(^^ゞ

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ねこさんのヘルメットは30年前、堀ひろ子さんとお揃いのペガサスの翼をモチーフにした耐久用のデザインを現代風にアレンジしたもの。
そして現在、岡山国際のレースで使用しているGSXR1000もドクター須田80年仕様と同じカラーリング。
イメージ 10レーシングスーツも左上画像と同じデザインという拘りようで、女性同士の友情の深さとその思い入れに頭が下がる思いです。
※画像はねこさんブログから勝手に拝借しましたm(__)m










試乗会はある意味、プチ同窓会のようでもあり、あの時はあーだったのこーだったのとええ歳こいたおっさんとおばは・・・妙齢の女性がワイワイと大盛り上がりでしたヽ(^o^)丿

今回三台のデモ車に乗って感じたことは、ピークパワーや特定の要素を求めるレース管よりも、騒音規制や排ガス規制など縛りの多いストリート管で満足の得られるものを作ることは実に難しく、単なるこけおどしのデザインや、商品価値を上げるためにチタンやカーボンなどの高級素材を使用したものが多く出回っているのが現状で、そこにあえて鉄で挑んだK君の今回の作品は、正に彼の狙い通りの仕上がりでした。
集合管の素材は、鉄→ステンレス→チタン、サイレンサー部分もアルミ・カーボン・チタンと高級素材へ変化してきましたが、素材そのものが性能を直接左右しませんので、これらの「売り」はレーシーな雰囲気や軽さであり、それらもオートバイを楽しむことの一部ではあります。
幼少のころより楽器に親しんできた彼は今回特に音質に拘り、サイレンサーの構造に管楽器の理論を応用しています。
日ごろは全日本や世界トップチーム、欧州某メーカーの純正レーシングマフラーを多く手がけるK君、その世界では「小林管」として有名で、その彼が原点回帰と温故知新で挑んだ鉄製マフラーは、正にあの時代を思い出させてくれる音質や質感、視覚的要素などの『感覚』を売りにしているのだと理解しました。

日本製空冷4発が世界を席巻し始めた70年代、「ヨシムラ」がアメリカに乗り込んで大暴れしたあの時代・・・
夕刻、試乗終えた私たちの心の中には正に「あのころの風」が吹きわたっていました。ヽ(^o^)丿