養殖マグロ

うな研の盟友で、今年の団体戦で大活躍したSさんが、銀座にあるマグロ料理の店に行ったらしい。
某大学直営とかで、予約しないと席が取れないほどの人気で、その大学が養殖したマグロを食わせることで有名な店です。
料金はコースで一人5千円。
ランチとしてはかなりの高額ですが、マグロ以外にも高級魚のシマアジ真鯛が出るとか・・・
Sさんは自分で釣りをするわけですから、もちろん魚の味を知っています。
私は最初に聞いた時は「???………」と思ったのですが、本人は
「テレビで言うほどか気になるところ」
と興味半分話のネタみたいなノリです。
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で、夜になってうな研のLINEにSさんから書き込みがあったのですが・・・
「実際のところ、天然本マグロの味の半分でした😢
檻の中のマグロなんで、脂肪の旨味に奥行きなし…」
ま、予想通りの結果となったわけです。^_^;
つまり、脂はのってるけど、旨味に奥行きが無くのっぺりとした味っちゅうことです。
戦後、日本人は脂質を好むようになり、不自然な脂の霜降り肉を珍重するようになりました。
養殖魚も然りで、高カロリーの配合餌を与えて育てた養殖鰻や養殖ブリなどは、食べると口の中に油の膜が出来るような実に不快な代物です。
これら養殖魚にははっきりとした旬と言ったものが無く、ほぼいつ食べても脂がのっています。
対して天然魚には旬があり、海域によってその旬も微妙に違います。
例えばブリや鯖などは寒ブリ・寒鯖と呼ばれるように、晩秋から脂がのり始め旬を迎えるわけですが、人工的にコントロールされた養殖魚は一種の工業製品のようなものですので、よく言えば年中品質(脂ののり)が安定してるとも言えます。
ま、これも季節感がなくなる一つの要因でしょうね。

養殖魚が美味いか不味いかは個人の主観や味覚の差によって決まるので、これ以上とやかく言うのはやめますが、この養殖という行為は色々な弊害があることをご存知でしょうか?
養殖される魚と言えば、マグロやカンパチなどの大型高級魚が主で、これは事業者の採算性を考えれば当然のことです。
これらの養殖魚は海上の大きな生簀で蓄養されるわけですが、問題はその餌です。
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この画像は、私が数年前に鹿児島県某所のマグロ養殖場で撮影した物です。
餌となる鯖に大量の粉末がまぶされています。

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この鯖が左のパイプから次々に放出され、それをマグロが食べるわけです。
この粉末の成分を私が尋ねると、養殖場の人は「栄養剤とか・・・ 色々です・・・」と少し言葉を濁しました。
まあ、マグロにとっては狭い生簀の中での密飼いですからね・・・
一匹が病気になれば瞬く間に他の個体にも伝染します。
抗生物質がかなり入っていると推測しました。
私は専門家ではないので、それが人体にどのような影響があるのかを云々する気は毛頭ありませんが、ひとつ気づいたこととして、その養殖場の水域だけ他所と海の色、正確には海底の色が違うのです。
あの粉末が海底にヘドロのように溜まり、元々その水域に居た底生の生物がいなくなってるわけですね。
粉末を鯖にまぶしているわけですから、水中への流出を計算すれば、マグロに実際に必要な量をはるかに上回る量を投与する必要があるわけで、これが他の魚類や貝類甲殻類にどのような影響を与えているのか、それは闇の中です。
大型高級魚の養殖は環境負荷が大きすぎます。
マスコミは養殖マグロのことをもてはやしますが、その弊害のことには一切触れません。
まあ、この辺がマスゴミたる所以ですね。
あと、これら大型高級養殖魚に与える鯖をはじめとする大衆魚、これを餌としてではなく、人間が食べれば、カロリーベースで計算すると世界の多くの人の栄養となるわけで、高給な養殖魚を食べることのできる日本人のためにどこかで誰かが犠牲になってるっちゅうことです。
海洋資源の枯渇が危惧される中、人工的な養殖は資源枯渇を防ぐといった側面もあるのですが、手放しに称賛したり、何も考えずに回転ずしに並ぶことはそろそろやめたほうがええんとちゃうかと思う次第です。
養殖マグロより、天然物しか存在しない秋刀魚のほうが好きな私は、明日は秋刀魚の塩焼きにすることにします。^_^;

高田渡 - 鮪に鰯