八紘一宇の女性三人

過去記事でも紹介した「八紘一宇」ですが、ここで発端となった三原じゅん子参院議員の発言を伝える新聞記事と、この発言に対する二人の女性の意見を紹介したいと思います。
皆さんはどのように感じられますか?


三原じゅん子議員:「紹介したい大切な価値観、八紘一宇


毎日新聞 2015年03月17日 00時46分(最終更新 03月17日 09時34分)

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参院予算委員会の質問で

自民党三原じゅん子参院議員は16日、参院予算委員会で「ご紹介したいのが、日本が建国以来、大切にしてきた価値観、八紘一宇(はっこういちう)であります」としたうえで、同理念のもとに経済や税の運用をしていくべきだと質問した。八紘一宇は戦前、日本の侵略を正当化するための標語として使われていた。
三原氏は企業がグローバル資本主義の中で課税回避をしている問題を取り上げた。この中で「八紘一宇の理念のもと、世界が一つの家族のようにむつみあい、助け合えるような経済および税の仕組みを運用していくことを確認する崇高な政治的合意文書のようなものを、首相こそがイニシアチブを取って世界中に提案していくべきだと思う」と語った。
答弁に立った麻生太郎財務相は「八紘一宇は戦前の歌の中でもいろいろあり、メインストリーム(主流)の考え方の一つなんだと思う。こういった考え方をお持ちの方が、三原先生の世代におられるのに正直驚いた」と述べた。



会心の無知  斉藤美奈子

2015年3月18日【東京新聞・本音のコラム】
斉藤美奈子 文芸評論家
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十六日の参院予算委会で質問に立ち「八紘一宇(はっこういちう)の理念が大事」という仰天の自説を披露した自民党三原じゅん子参院議員。ナチの手口に学べと述べた麻生太郎財務相さえ篤かせたほどだ。本人は得意満面。会心の質問と思ったかもね。

この質問、最初から変だった。「皆さま方にご紹介したいのが、日本が建国以来大切にしてきた価値観、八紘一宇であります」。そんなもん、わざわざご紹介されなくて知ってるわ。が、三原議員はすました顔で「これは昭和十三年に書かれた『建国』という書物でございます」と資料を示し「世界が一家族のようにむつみ合うこと」などと語義を説明。この根本原理の中に「現在、グローバル資本主義の中で日本がどう立ち居振る舞うべきかが示されているのではないかと思うんです」
口が滑った程度の話じゃないからね。この言葉をはじめて知って「あらステキ♡」とでも思ったか。それとも誰かが入れ知恵したか。歴史のお勉強をサボると、こういう惨事を招くんです。
いずれにせよ、侵略戦争を正当化したいという願望がなげればこんな無知かつ無恥な発言は出ないはず。これが許されるなら「改革は進め一億火の玉の精神で」とか「五族共和こそ対アジア外交の指針」とかもOKになる。安倍談話の行方で注目されている政権。厳しく処分しないと禍根を残すよ。(文芸評論家)



「八紘為宇」なる建国の理念 三原じゅん子議員発言を批判する者はまず勉強せよ

産經新聞 葛城奈海の直球&曲球 2015.4.23 11:27
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先月16日の参院予算委で自民党三原じゅん子議員は「八紘一宇(はっこういちう)」について「日本が建国以来、大切にしてきた価値観」と述べた。日頃、「八紘一宇」のルーツである「八紘為宇(いう)」こそ日本が取り戻すべき理念だと考えていた私からすれば、まさにわが意を得たりの発言であった。
 かくいう私もこれを「好戦的なナショナリストのスローガン」だと思い込んでいたひとりだ。それが、初代神武天皇の「橿原建都の詔(みことのり)」を学び、「天の下にひとつの家のような世界を創ろう」という原義を知るに及んで、己が先入観と不勉強を恥じた。
 拉致問題ひとつとっても、被害者を「自分の家族」として痛みを分かち合えるのなら何十年も見捨てたままになどできないであろう。この広大な理想の対象は日本国のみにとどまらない。
 先の大戦で渋谷健一特攻隊長は、幼い娘たちに「世界に平和がおとづれて万民太平の幸をうけるまで懸命の勉強することが大切なり」と書き遺(のこ)している。われわれ日本人は他者を、蹴落としてでも自分さえ勝てばいい、他国を踏み躙(にじ)っても自国さえ繁栄すればいいといった考え方を良しとしない。日本人のDNAにはこの壮大な理念が埋め込まれている。
だからこそ、欧米列強の強圧的な植民地支配とは対照的な、アジア太平洋諸国での統治が、先般の天皇、皇后両陛下のパラオご訪問でも示されたような現地の人々の熱烈な親日感情を育んだのであろう。
 戦後70年の今こそ、日本人が自ら受け継ぐこの宝のような価値観を自覚し、そこに立ち返ることが、弱肉強食の世界を「強者が弱者を助け共に生きる世」へと導く鍵になるように思えてならない。
 「戦後レジームからの脱却」「日本を取り戻す」とは、極論すれば「八紘為宇」という建国の理念を取り戻すことではあるまいか。
 三原発言へのGHQ史観そのものの批判には「まず勉強を」と言いたいが、保守層にこれを擁護する動きが希薄だったのも残念だ。議員の経歴を理由に同発言を軽視する輩(やから)には、そうした「色眼鏡」こそ戦後体制を延命させてきたことを肝に銘じてほしい。
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【プロフィル】葛城奈海
 かつらぎ・なみ やおよろずの森代表、キャスター、俳優。昭和45年東京都出身。東京大農学部卒。TVドラマなどに出演。自然環境問題・安全保障問題に取り組む。予備役ブルーリボンの会広報部会長。近著(共著)に『国防女子が行く』(ビジネス社)。